今回は、「興行ビザ」に関して解説していきたいと思います。

興行ビザとは、「 外国人の方が、演劇、演芸、歌謡、舞踊、演奏またはそれ以外の興行に係る活動を行おうとする場合」に交付されるビザです。

・在留期間は「15日」「3か月」「6か月」「1年」の4種類です。実際は、6か月が継続して在留できる最長期間で運用されているようです。

本来日本で報酬を得る活動をする場合は、原則90日以上滞在することが前提となりますが、この興行ビザは90日以内の短期で「15日を越えない期間」で、報酬を得る活動ができる場合もあるのが特徴です。

付与される業務は以下になり、まずは、演劇、演芸、歌謡、舞踊、演奏の興行について法令要件をご説明したいと思います。

招聘者(プロモーター)(除く民族料理店)に課せられた要件

民族料理店は除くと記載したのは、興行ではありませんので、招聘先と認められません。

  • 外国人の興行に係る業務について通算して3年以上の経験を有する経営者又は管理者がいること。
  • 5名以上の職員を常勤で雇用
  • 常勤の職員10名中、当該機関に継続で6ヶ月以上雇用されている者が最低1名以上いること
  • 当該機関の経営者又は常勤の職員が入管法73条の2(不法就労助長)の罪又は売春防止法の罪により刑に処せられたことがないこと及びその他の欠格事由に該当していないこと。

興行場所に課せられた要件

●不特定かつ多数の客を対象として外国人の興行を行う施設であること。

●風営法1号又は1号営業店の場合、

(i)専ら客の接待に従事する従業員が5名以上いること。

(ii)興行に係る活動に従事する興行の在留資格をもって在留する者が客の接待に従事するおそれがないと認められること

(iii)13平方メートル以上の舞台があること。

(iv)9平方メートル(出演者が5名を超える場合が、9平方メートルに5名を超える人数の1名につき1.6平方メートルを加えた面積)以上の出演者用の控室があること。

(v)当該施設の従業員の数が5名以上であること。

申請人(興行を行う人)に課せられた要件

●2年以上の活動にかかる教育を受けているか、経験を有している。加えて日本人が従事する場合に受ける同等以上の報酬(月額20万円は必要とされています。)

 以下の場合は、同じ「興行」でも日本人と同等以上である報酬以外は上述の要件は必要ありません。

●国、地方公共団体の機関又は特殊法人が主催する場合

上記のプロモーターの要件、施設の要件は問われなく、招聘者の財務安定性、施設の確保など

●文化交流に資する目的

国や独立行政法人等の援助を受けて設立された日本の公私の機関が主催する場合

●外国の方が、外国の情景又は文化を主題として観光客を招致するためで敷地面積10万m2以上の施設において、興行活動を行おうとする場合

具体例としては、民族舞踊や演奏を行う場合などが該当します。

●外国の方が、客席において飲食物を有償で提供せず、かつ、客の接待をしない施設(定員が100名以上)の場合、当該興行により得られる報酬の額が1日につき50万円以上であり、かつ、15日を越えない場合。

具体例としては、コンサートなどが該当します。

外国人の方が、演劇、演芸、歌謡、舞踏、演奏「以外」の興行に係る活動を行おうとする場合

日本人が従事する場合と同等以上の報酬である以外は、プロモーターや施設の要件はありません。

スポーツの例を挙げて具体的にはどの場合がどのビザになるのかご説明いたします。

●プロスポーツ選手(プロ野球、Jリーグなど)・・・興行

●アマチュアスポーツ選手(実業団)・・・特定活動ビザ(日本の公私の期間内のクラブチームが、技術を競う目的で行うスポーツの試合に参加させるために、当該外国人と契約(雇用)し、オリンピック大会、世界選手権大会その他国際的な競技会に出場したことがある選手を月額25万円以上の報酬で招聘)

●国際大会に参加するスポーツ選手・・・・短期滞在ビザ(オリンピック、世界選手権、アジア大会、国別対抗戦、親善試合などに参加)

●コーチ等指導者・・・技能ビザ(スポーツの技能について3年以上の実務経験)

外国の方が「商品又は事業の宣伝に係る活動」「放送番組(有線放送番組を含む。)」「映画の製作に係る活動」「商業用写真の撮影に係る活動」「商業用のレコード、ビデオテープその他の記録媒体に録音又は録画を行う活動」

 どのような職業が該当するかというと、ダンサー(振付師なども含む)、ミュージシャン(オーケストラの指揮者、マネージャーも含む)、モデル・俳優(演出家等出演者以外の関係者も含む)、プロスポーツ選手(トレーナー等関係者も含む)などです。

まとめ

興行ビザは、活動の要件などが細かく法令で定められています。

予定をしている興行が在留資格を取得できるかどうか分からない場合は、お気軽に当行政書士事務所へお問合せください。