今回は、在留資格「経営・管理」ビザの法令要件である、「事務所」について解説していきたいと思います。事務所の確保は大変ですよね。基本的に事務所物件を借りていただくのが、入国管理局へ説明もし易いのでありがたいのですが、自宅でも法令の要件に適合すれば、事務所とみなされる場合があります。

そのことに関して、解説していきます!

 

法令に適合しているのは、契約者が「法人(会社)」名義であり、賃貸借契約書の使用目的に「事業用」「店舗」「事務所」などと明記してあることです。

通常、事業用に事務所を借りるときは、契約書にこのような記載があるので、問題ないと思います。時折、業種なども限定してくる貸主がいらっしゃいますので、契約書の内容はよく注意してご覧ください。

 

事業所の写真も審査書類として提出いたします。

 

次に、住居として賃借(借りている)している物件を一部使用して、事業を運営されるような場合は、「住居目的以外」での「使用を貸主が認めている」ことが必要です。

条件を満たすのは下記のとおりです。

1. 借主(住居として借りている本人)と当該法人(事業会社)の間で転貸借されることになるので、貸主が同意していること。

 

2. 借主も当該法人が事業所として使用することを認めていること(自分が借りている住居を事業用として使用することを、自分が事業する会社に認める。)

 

3. 事業を行う設備等を備えた事業目的占有(生活スペースと隔離されている)の部屋を有していること。

 

4. 住居部分と事業を行う部分の公共料金の支払いに関する取り決めが明確になっていること。

 

5. 看板類似の社会的標識を掲げている(会社名が玄関や、郵便ポストに表示されている)こと

 

お気づきの方もいらっしゃると思いますが、この要件は外国人のビザに限ったことではありません。

1.や2.は役所の許可が必要な営業をするときに、日本人も同じような条件を満たさなくてはいけない場合があります。私が知っている限りでは、古物商、宅地建物取引業、酒類販売などです。

3.5.に関しては、行政書士登録で必要な要件です。

4.は日本人も自宅で自営業されている方は、税務申告のときに分けているはずです。

 

自宅を事務所として申請するときは、厳しい要件のように思えますが、実はビザに限ったことではありません。確かに日本人や永住権をもっている外国人などは、事務所を借りたり、業務スペースを確保しなくても会社設立ができます。

しかし、就労制限がある外国人の方(持っている在留カード以外の活動を出来ない方)や、日本に住所がなく、これから日本で経営管理ビザを取得したいと思っている外国人の方は、入国管理局へビザと同時に営業許可を申請する感覚でいていただければ良いと思います。

 

どのような書類を揃えればよいのか迷われたら、当行政書士事務所へお気軽にお問い合わせください。行政書士は書類作成の専門家ですので!

 

いわゆるインキュベーターオフィス、「会員制のフリーデスク」で登記できるシェアオフィスは、要件を満たさないので許可されません。

ただ、独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)対日投資ビジネスサポートセンター(IBSC)などのインキュベーターオフィスは、起業支援を目的に一時的に事業用オフィスとして貸与され、使用承諾書などの提出があったときは、「事務所の確保(存在)」要件に適合していると取り扱うこととされています。すこし敷居が高いですね。なので、原則インキュベーターオフィスは難しいとお考えください。

 

ただし、インキュベーターオフィス内に個室がある場合は、認められるかもしれません。これも自宅内で事業するときのような要件を満たさなくてはいけませんし、長期契約も必要です。私が探したところでは、大阪市内だと結構お家賃も高いです。それなら、当初は少しお安めの事務所を借りて、スタートしたほうが、長期的にみて割安なのかなとも思います。

日本で起業したいけど、事務所はどうしたら迷われたら、お気軽に当行政書士事務所へお問合せくださいませ。