今回は、2名以上の外国人が「経営・管理」ビザで事業を共同で経営する場合の解説をしていきたいと思います。
経営管理ビザの経営とは、どのような活動をする人を想定しているか?
事業の経営又は管理に実質的に参加されている方、すなわち、事業の運営に関する重要事項の決定、事業の執行もしくは監査の業務に従事する活動を行っていることが必要です。従業員が行うような商品の発注、電話の取次ぎ、商品の買い付け、会計記帳などは、事業の執行とはいえません。このような活動は、経営管理ビザの活動とはみなされません。
共同で事業を起こした複数の外国人がそれぞれ役員に就任する場合
それぞれの外国人が従事しようとする具体的な活動の内容から、その在留資格該当性及び上陸基準適合性を審査されることになります。
基本的な考え方
事業の経営又は管理に実質的に参画する者としての活動ですので、役員に就任している(登記されている)というだけでは、経営管理ビザの活動に該当するとはいえません。
また、複数で事業の経営又は管理に従事するという場合、それぞれの外国人の活動が「経営・管理」の在留資格に該当するといえるためには、当該事業の規模、業務量、売上等の状況を勘案し、複数の外国人が行う合理的な理由があるものと認められる必要があります。
実際には、従事することとなる具体的な業務の内容、役員として支払われることとされる報酬額等を勘案し、それぞれの外国人の行う活動が事業の経営又は管理にあたるものであるか否かを判断されることになります。
上記の考え方を更に具体化すると、
(1)事業の規模や業務量等の状況を勘案して、それぞれの外国人が事業の経営又は管理を行うことについて合理的な理由が認められること
(2)事業の経営又は管理に係る業務について、それぞれの外国人ごとに従事することとなる業務の内容が明確になっていること
(3)それぞれの外国人が経営又は管理に係る業務の対価として相当の報酬額の支払を受けることとなっていること
等の条件が満たされている場合には、それぞれの外国人全員について、「経営・管理」の在留資格に該当するとの判断が可能といえます。
具体的な事例
【事例1】
外国人A及びBがそれぞれ500万円出資して、日本で輸入雑貨業を営む資本金1000万円のX社を設立した。Aは、通関手続きをはじめ輸出入業務等海外取引の専門家であり、Bは輸入した部大運の品質・在庫管理及び経理の専門家である。Aは海外取引業務の面から、Bは輸入品の管理及び経理面から、それぞれにX社の業務状況を判断し、経営方針については共同経営者として合議で決定することとしている。A及びBの報酬は、事業収益からそれぞれの出資額に応じた割合で支払われることとなっている。
【事例2】
外国人C及びDがそれぞれ600万円及び800万円を出資して、日本で運送サービス業を営む資本金1400万円のY社を共同で設立した。運送サービスを実施する担当地域を設定した上で、C及びDがそれぞれの地域を担当し、それぞれが自らの担当する地域について事業の運営を行っている。Y社全体としての経営方針は、C及びDが合議で決定することとし、C及びDの報酬は、事業収益からそれぞれの出資額に応じた割合で支払われるとことなっている。
まとめ
外国人の方が2名以上で出資し会社を設立し、それぞれが「経営・管理」ビザの活動と判断されるには、法令の要件を満たしたうえで、
1.複数で会社を経営する合理的な理由があるか?
2.経営に関する決定など、役割分担が明確にされているか?
3.それぞれに相当な報酬が支払われる取り決めがされているか?
などが審査されるということです。
「経営・管理」ビザは、法令に書かれていない部分の審査が多いところがあります。その書かれていない部分は経営者の定義から導きだされるものであり、不合理なものではありません。時折、「経営管理」ビザのご相談で、1名で会社設立した後、従業員を雇わなくても1名で経営をしていけると仰ったりいたしますが、経営者の活動と従業員の活動は違う在留資格ですので、従業員なしで会社を運営を続けているようではビザの更新が難しくなるとお考えください。
日本で共同出資して会社を経営したい、または 経営管理ビザに関する不安やご相談があればいつもでお気軽に当行政書士事務所へお問合せください!