今回は日本国民が外国籍を取得した後、日本の居住権すなわち在留資格を取得する手続きについて解説いたします。

日本は基本的に二重国籍を認めていませんので、日本国民(日本人)が外国の国籍を取得すれば、外国人と同様日本に90日以上滞在する場合は原則、在留資格(ビザ)が必要となってきます。

「日本国民で自己の志望によって外国の国籍を取得した」方は、法律上「外国籍を取得した時点で日本国籍が喪失」されます。

国籍法では下記のように定められています。

(国籍の喪失)

第11条 日本国民は、自己の志望によつて外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う。

2 外国の国籍を有する日本国民は、その外国の法令によりその国の国籍を選択したときは、日本の国籍を失う。

第12条 出生により外国の国籍を取得した日本国民で国外で生まれたものは、国籍法の定めるところにより日本の国籍を留保する意思を表示しなければ、その出生の時にさかのぼつて日本の国籍を失う。

第13条 外国の国籍を有する日本国民は、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を離脱することができる。

2 前項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を失う。

 

喪失はされるのですが、届出をすることにより日本の戸籍から除籍されます。届出をせず戸籍から除籍されていないことをもって日本国籍があるとはなりません。

外国籍を取得した日本国民は、在外日本大使館または領事館、または本籍地の市区町村役場に「国籍喪失届」を提出し、戸籍から除籍されます。除籍されていない方は、まずは「国籍喪失届」を提出してください。(今回のケースは「国籍離脱届」ではありません。私もご説明するときに喪失届と離脱届を言い間違えることがあります。どう違うのかをご説明するのには日本の国籍法13条の条文をご理解いただくことから始めなければいけないのでここでは割愛させていただきます)

届出をしなければ外形上、日本国籍があるようになっていますが、実質上日本国籍は喪失されており、法的に日本国籍が喪失しているにもかかわらず戸籍から除籍されていないことを知りながら、例えば既に取得した日本旅券(パスポート)を使用したり、新たに日本旅券を申請した場合は処罰の対象になります。

外国籍を取得した場合、冒頭で申し上げたとおり、外国人なので日本で経済活動や引き続き90日以上日本に在留する場合は、入管法に定められている活動に基づいて手続きをして許可されることが必要となります。それぞれの在留資格については当行政書士事務所のホームページの記事をご参照ください。

入管法に定められている在留資格の種類には、「日本人の配偶者等」があります。「日本人の配偶者等」とは日本人の夫、妻、実子及び特別養子に付与される在留資格で、日本で就労する職種に制限がありません(勿論適法な職種に限りますが)。ご両親または父親あるいは母親が日本人である方で日本の戸籍があった方はこの「日本人の配偶者等」の「実子」として申請可能です。

では、申請にどのような資料が必要なのでしょうか?まずは日本人の実子であるという証明です。ここで「除籍謄本」が必要となります。しっかり「国籍喪失届」を在外日本大使館へ提出して、日本の戸籍謄本に反映されるようしていただくようお願いいたしますね。

あとは日本での「生活支弁能力」の立証資料が必要となりますが、これは個々のケースで違いがありますので、具体的な資料はもし当事務所へ申請代行をご依頼いただけたら状況をお伺いした後にお伝えしようと考えております。

どちらの国でも同様かと思いますが、長期滞在となると手続きと許可が必要となります。元日本国民の方も同様です。キッチリ手続きをしておけば安心することができます。安心して日本に滞在されたい方は当事務所でお手続きの代行いたします。