今回は法的性質と設立費用の面から、株式会社と合同会社のメリットとデメリットを解説していきたいと思います。
法的性質から見た違い
要件 | 合同会社 | 株式会社 |
---|---|---|
会社の意思を決定し、運営に携わる者 | 出資者が社員=(業務執行者)として会社を運営する。 合同会社の「社員」とは被雇用者の社員ではなく、業務執行者と法律上位置付けられている「社員」です。 |
株主(出資者)が意思決定し、取締役が(業務執行者)となる。法律上明確に分けられている。 |
意思決定の基本 | 業務の意思決定は多数決により社員全員で行う。 | 業務の意思決定は株主総会の議決 |
意思決定の方法 | 社員の地位の譲渡や継承は、社員全員の同意が原則 | 取締役の選任・解任の決定は、株主総会の議決による。 株式の譲渡は定款の定めによる。 |
情報公開 | 決算公告が不要 | 決算公告が必要 |
役員の任期更新 | 業務執行者(株式会社の役員に相当)の更新は不要 | 役員任期の更新が必要 |
利益配分 | 余剰金の配分を自由に決めることができる。 | 株主総会の議決を経て、配当比率は出資比率に応じて分配しなければならない。 |
設立費用(実費)
要件 | 合同会社 | 株式会社 |
---|---|---|
定款認証 | 0円 | 50,000円 |
定款印紙税 | 40,000円 | 40,000円 |
登録免許税 | 60,000円 | 150,000円 |
株式会社の登録免許税は「資本金×7÷1000」。
「資本金×7÷1000」で150,000円に満たない時は、申請1件につき150,000円。
当事務所は電子定款を使用していますので、印紙代を節約していただけます。
合同会社のメリット
- 決算公告の義務がない。
- 役員改選でかかる費用と手間が削減できる。
- 余剰金の配分を自由に定款で定めることができるので、社員である出資者の業績に見合った配当をすることができる。
- 税制は株式会社と変わらない。
- 株式会社への移行も可能。
- 登録免許税が安い。
- 定款認証する必要がないので、公証役場での定款認証費用が節約できる。
合同会社のデメリット
- 合同会社の社長の肩書は「代表社員」です。代表取締役社長という表記ができないので、気にする方にはデメリット。
- 取引の制限に幅がある可能性があります。理由は決算公告が非公開であることと、株主総会を置かないことなどが考えられます。
求人の際に人気が低くなる可能性もあります。 - 業務の意思決定が社員全員によって行われるので、意見がまとまらない場合が出てくる。
- 上記と同じで、権利譲渡や事業継承がやりにくい。
合同会社の大きなメリットは、設立時に費用が節約できることです。
名称にこだわらなければ、一人で会社を設立するときには費用負担も少なく、手続きも簡素化されているのでスタートしやすいのではないでしょうか。
一方で会社を設立するときには、注意しなければいけない点があります。
法的性質の違いでご説明したとおり、合同会社は出資の割合に関係なく、意思決定は業務執行者である社員の多数決で行われます。
それ故に業務執行決定の場面でなかなか意見がまとまらない場合も出てきます。
そういう場面を避けるためには、誰がどの業務の意思決定ができるのか定款に定めておくのも一つの方法です。
株式会社は出資者である株主の持ち株比率に比例して業務執行の意思決定が行われます。
会社運営の意思は株主総会で決定されるので、会社設立時の出資比率は会社の運営に大きな影響を与えることになります。
(次回は株式会社のメリット、デメリットについて紹介します。)
まとめ
合同会社、株式会社の違いを法律、費用面からご説明いたしました。
費用面から見たメリット・デメリットは分かりやすいと思いますが、法律・運営面からみたメリット・デメリットは会社設立時にある程度先を見越して決めていかなければいけません。
その決定は定款に反映させます。
定款作成は当行政書士事務所へご相談していただければ、皆様の会社運営の思いをくみ取って適切なアドバイスをいたしますのでお気軽にご相談ください。