外国から関心が高まってきているアニメ、ファッション、デザイン、食などに関して、「クールジャパン」と名付けて世界に発信する政策が行われています。

以前から「クールジャパン」に関わる分野において留学生等が日本で就労できるよう在留資格(ビザ)を整備すると言われてきましたが、ようやく入国管理局から「資格該当性」について明確化及び透明性の向上、審査の結果の予見可能性を高めるため平成29年9月に通知がありました。

今回はこの通知に関して、解説していきたいと思います。

どのような方が該当するのか?

外国人が「日本の大学又は専門学校」において「アニメ又はファッションデザインに関連する科目」を履修して卒業した方
(専門学校卒業者については、「専門士」又は「高度専門士」の称号を付与された方)

どのような活動内容(職務内容)が想定されているのか?

「学術上の素養」を背景とする一定水準以上の「専門的技術又は知識を必要」とする活動です。
単に経験を積んだことにより有している技術・知識では足りず、「学問的・体系的な技術・知識」を必要とするものです。

また、日本料理の調理師として就労を希望する方で、農林水産省が実施する「日本料理海外普及人材育成事業」の対象となる場合は、在留資格「特定活動」による就労が認められます。

日本料理海外普及人材育成事業(農林水産省のHP)

今まで、日本で調理師として働くには「技能ビザ」で「外国の料理」でなければいけませんでした。
しかし、現在平成29年8月時点では「特定活動」としてですが、「日本料理」を学びながら報酬を得ることができるようになっています。

事例でどのような活動が許可されるのか?

事例でどのような活動が許可されるのかご説明いたします。
(学歴要件は満たしている前提です。)

アニメーション分野

  1. コンピューター関連サービス会社で、キャラクターデザイン等のゲーム開発業務で従事
  2. アニメ制作会社で、絵コンテ等の構成や原画の作成といった主体的な創作活動に従事
  3. アニメ制作会社で、入社当初6カ月程度背景の色付け等の指導を受け、その後絵コンテ等の構成や原画の作成といった主体的な創作活動に従事

ファッション・デザイン分野

  1. デザイン事務所においてデザイナーとして創作業務に従事
  2. 自動車メーカーで、カーデザイナーとして自動車デザインに係る業務
  3. 服飾業を営む会社の海外広報業務を行う人材として採用後、国内の複数の実店舗で3カ月販売・接客に係る実地研修を行い、その後本社で海外広報業務に従事
  4. 服飾業を営む会社において、パタンナーとして、裁断・縫製等の制作過程を一部伴う創作活動に従事する

美容分野

  1. 海外展開を予定する化粧品会社における海外進出準備のため企画・マネジメント業務に従事する
  2. ヘアーウィッグやヘアーエクステンション等の商品開発及び営業販売の業務に従事

食分野

  1. 食品会社の研究開発業務に従事
  2. 飲食店チェーンの海外展開業務を行う人材として採用された後、本社における2カ月の座学を中心とした研修及び国内の実店舗での3カ月の販売・接客に係る実施研修を行い、その後本社で海外展開業務に従事する
  3. 農林水産省が実施する「日本料理海外普及人材育成事業」の対象となって、5年間調理に関する技能を要する日本料理の調理に係る業務
  4. フランス国籍を有する者がドイツにおいてイタリア料理の調理師として10年間活動した後、日本においてイタリア料理の調理に係る業務に従事する

不許可になる事例

次に、不許可になる事例もご紹介いたします。

アニメーション

アニメ制作会社において、主体的な創作活動を伴わない背景の色付け作業等の補助業務のみ

ファッション・デザイン分野

  1. 服飾業を営む会社において、主体的な創作活動を伴わない裁断、縫製などの制作過程に従事する
  2. 服飾業を営む会社の店舗において専ら接客・販売業務に従事
  3. 衣料店販売店において専ら販売業務に従事

美容分野

  1. 美容師やネイリストとして業務に従事
  2. 海外展開を予定する化粧品会社に雇用され、同社の海外進出準備のための企画・マネジメント業務を行うため1年間の座学及び実地研修を行うとして申請があったが、実際には同社で同じ業務に就く日本人は4カ月で実地研修が終わるのに対し、当該外国人については店舗を替えながら実地研修をするという名目で1年間に渡って販売・接客業務をさせる計画であったことが、審査の過程で明らかになった

食分野

飲食店チェーンにおいて3年間の滞在予定で海外展開業務を行うとして申請があったが、実際には、入社後2年間は実地研修の名目で店舗での調理・接客業務に従事させる計画であったことが審査の過程で明らかになった

まとめ

以上からお分かりのように、ビザ申請には、具体的に職務内容を示さなければいけないと同時に、その内容は学業を生かしたものでなければいけないし、一部食分野で認められている業務以外は現場で働くことは認められていません。

しかし、一定期間の経験がある方でないとビザ申請が許可されなかった職務も、学歴要件を満たしていれば許可される方向になっています。

外国人を雇用することに積極的な事業会社で、ビザ申請にご不安があれば、当行政書士事務所へお気軽にお問合せください。